【読書ノート 007】伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール
伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルール
高橋佑磨、片山なつ/著(技術評論社) 2014年7月3日発売
2021年3月5日読了
感想
・タイトル通り、「よい資料を作るためのデザインの基本」を非常に分かりやすく紹介した1冊。デザインが本業の方には物足りないかもしれませんが、業務で資料を作成する機会の多い営業職の方や、シンプルで洗練された資料を作れるようになりたい新入社員など、いわゆるノンデザイナーにはおすすめです。
・タイトル通りと書きましたが、この本に書かれているのは「資料作りにしか通用しないデザインルール」ではありません。WordやPowerPointで作成する資料・スライドはもちろん、チラシやポスターなどの印刷物、Webサイトのデザインにも通じる「情報を伝えるために行うデザインの基本」が詰まっています。
・デザイナーという肩書を持つ方がむと、「自分は基本をしっかり理解できているのか」と初心に立ち返れることでしょう。私はWebサイト制作を多少かじっていますが、「分かったつもりになっていたな」「"なんかかっこいい"という感覚だけでデザインしてしまっていたな…」ということに気付けました。
・全5章立てで約170ページある大型本ですが、写真や図表が多く、最後まで飽きずにスラスラと読み進められます。単にデザイン・レイアウトのルールを並べただけではなく、5章目は「実践」となっていて、1~4章で紹介したテクニックを具体的なデザイン例とともに振り返ることができます。
※私は職場の方からこの本を借りましたが、新たに購入する場合は、2016年に発売された増補改訂版の方がよいかもしれません。
覚えておきたいこと
・フォント選びで大事なこと
WinとMacで選ぶべき「美しい字形のフォント」が異なることを知りませんでした。何を隠そう私はメイリオ大好きマン…。日本語の文章の中に登場する英数字には、きちんと欧文フォントを選ぶべきという認識もありませんでした。
・欧文フォントの読み方
Calibri(カリブリ)
Segoe(シーゴー)
Helvetica Neue(ヘルベチカ ノイエ)
Caslon(キャズロン)
Avenir(アヴェニール)
Arial(エイリアル)
シーゴーとノイエ、難解すぎでは???
私はずっとSegoeを「セージ」とか「ショージ」とか「セゴエ」と呼んでいました。心の中で…。
・図表内で「数字+単位」という記述をする場合、数字を大きく・単位は小さくする
・小見出しのデザイン
「太字を使う」「色を変える」「サイズを大きくする」が目立たせるための基本。小見出しの先頭に中黒をつけたり下線を引いても大して目立たない&不格好なので避ける。
・文章の改行
強調箇所をぶつ切りにしない。文末の微妙なはみ出しは避ける。改行後の文章は、最低4文字は確保する。
・段落の見せ方
短文を多用する場合は、インデント(段落の頭のスペース)を入れなくてよい。入れることで可読性が下がってしまう。段落が短い時はインデントで段落のはじめを示すよりも、段落間の間隔でメリハリをつける。また、段落のはじめが明確に分かる場合(例えば小見出しの直下から始まる本文など)は、2段落目以降のみにインデントを入れればよい。
・カッコと記号
見せる資料では「」()[ ]:の使用は避けて、|や/を使う。
(例)会場:東京ドーム → 会場/東京ドーム
・図の解説に使う引き出し線
細く、規則正しく引くのが鉄則。視認性が悪い場合は、ざぶとんを敷くなどして目立たせる
・表
不要な線は削除し、文字を揃える(数値が入っている列は右揃え、単語だけの列は左揃えで統一)。横に長い場合は、対応している項目とデータを分かりやすくするために、1行おきに背景色をつけるとよい。表のなかでもきちんと余白をとる。
・情報の構造を明確にする5つのルール:
余白をとる、揃える、グループ化する、強弱をつける、繰り返す
余白ができることを恐れない。むしろ余白をうまく使うべき。キャプションの長さは、図や写真の幅に揃える。ジャンプ率(文字の極端な強弱)で重要な情報を読み手に知らせる。ルールは安易に崩さない、守り通す!
総評
・目新しいことが書いてあるわけではないけれど、単なる初心者本と侮ることなかれ。むしろ、侮ってしまう人ほど、自分の基礎知識の再確認用に読むことをオススメします。
・デザインにはセンスや直感なんかもきっと役立つでしょうが、それらは「基本」の上に成り立つものだと思うので。教科書として手元においておきたいです。
予告
・「超AI時代の生存戦略」を先に読了し、「次世代コミュニケーションプランニング」も残り1/3くらいとなりました。
・そんなことを言いながら、また新たに1冊ポチってしまいましたが…