【読書ノート 006】UXデザインの教科書
UXデザインの教科書
安藤昌也/著(丸善出版) 2016年6月1日発売
2021年3月2日読了
感想
・私には、とてもとても難しい本でした……ここ最近読んだ本のなかで、ダントツの難しさでした。
・しかし、それでも挫折したくなかった…いや、途中で投げ出してはいけない&もったいないと思ったのは、UXデザインについて、網羅的に学ぶことのできる1冊だと強く感じたから。
・判型が大きい上に約250ページあるので、前回の『インタフェースデザインの心理学』と同様、持ち運びには不向き。『UXデザインの教科書』の方が判型大きいですね。
・私が「読むの辛いなぁ…」と感じた理由は下記でした。これを見て「まじか…」となった方は、気合を入れてから読んでみてください。ただ、前述しましたが、これらを気にして読むのをやめてしまったり、内容に集中できないのはすごくすごくもったいないです。
①1行あたりの文字数がかなり多い
②そのため、どこまで読んだか分からなくなり、心が折れる…
③対応する図や表が、該当する文章の近くにない(ほとんどが次の見開きにある)
④しかも「図」と「表」でそれぞれ通し番号があるのも分かりにくい…
⑤後半になるにつれて、二重表現や誤字脱字的なものが増えていく…
覚えておきたいこと(4「手法」より)
・コンテクスチュアル・インクワイアリー(文脈的調査)の「実施の際の留意点やポイント」について
調査対象(この場合は特定の作業を教えてもらう"師匠"的な立場にあたるユーザー)に話を聞く際、「この言葉が出たら、さらに掘り下げて聞くべき」という言葉がいくつかあげられています。例えば「~を検討する」と言われたら「何を検討するのか」、「~がわかる」と言われたら、「具体的に何がわかるのか」など。
ここで挙げられていた言葉の数々は、コンテクスチュアル・インクワイアリーだけに通用するものではなく、クライアントとの対話や一般的なインタビューにも当てはまる注意ワードだと感じました。部分的に切り取ってもピンとこないと思うので、ぜひ該当箇所を読んで確かめていただきたいです。
・個人面接法(インタビュー)でユーザーの真相に迫る補助的手法として活用する「脳内マップ」について
ひと時前に流行った「脳内メーカー」を、対象者自らに作ってもらうイメージ。これを調査後(本書で書かれていた例ではフォトダイアリー作成→フォトダイアリーに基づくインタビューの実施後)に行うことで、対象者が本当に関心を寄せている価値が見える場合がある。
例えばインタビュー中は、Aについての話題が一番盛り上がっていたとしても、いざ脳内マップを作成してもらうと、インタビューではほとんど語られなかったBやCに関心を寄せていた――というようなケースが発見できる。私自身も、インタビュー原稿などを作成する際に一番盛り上がった(話す時間が長かった)話題をメインに据えがちなので、"本当は話の肝はそこじゃなかった"ということに気付くツールがある知れて、適宜活用してみたいと思った。
・ペルソナ法の特徴
マーケティングやブランディングの本や、実務で目にする資料(他社作成)でも「ペルソナ」という言葉をよく見かけるけれど、いまいち「どういうためのもの」で「どういう風に作り上げるか」を把握しきれていませんでした。これまで見聞きした説明の中で、一番分かりやすく丁寧に説明されていたのが本書だと感じました。
数ページにわたってかなり細かく説明されているので、自分がペルソナを作成したり、作成されたペルソナの適性を判断する立場になった際は、必ず読み返した上で業務に取り組みます。何事もそうですが、読んだだけでは完全には理解できないので、得た知識は、活用できる場できちんと役立てたいです。
総評
・難しい。けど、UXデザインについてしっかり学べます。
・きっと一度読めば、ものすごくお腹いっぱいになる…はず。
予告
・「次世代コミュニケーションプランニング」と並行して「超AI時代の生存戦略」を読み始めており、間もなく読了です。とてもおもしろい。