書きたいときに書きたいことを書きたいだけ。

元編集者兼ライターで、現在はWebサイト制作・運用に携わるピーターが気になったあれこれや、日々感じたことについて。最近ちょっとだけまじめ。Twitter@PeterK723

◆読書のこと 02◆

遅くなりましたが、読み終わりました!

 

「死ねばいいのに」(京極夏彦・著)

bookclub.kodansha.co.jp

 

f:id:kurauchi723:20180426112035j:plain

すさまじく印象に残るタイトル…!

 

 

ちなみに、写真はカバーを外した状態なんですが、

カバー下のデザインが「漆黒の魔導書」って感じで

とってもツボでした。

 

ここから内容についてのお話です!

微妙にネタバレも含みます。

 

 

 

------------------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 

 

ざっくりとしたあらすじ▼

鹿島亜佐美というOLが何者かに殺害された。

彼女を知る人物たちの言葉を通して、

様々な事実や真実が浮かび上がっていき…。

 

 

全6話構成(6話目が書き下ろしっていうのがびっくりです)。

それぞれに中心となる人物がいて、

その人目線(その人の語り口調)で物語が進みます。

本の構成的には、「白ゆき姫殺人事件」が

近いかもしれません。

 

 

まず第一に、

とってもおもしろかったです!

 

 

なかなか読書の時間が確保できなかったのですが、

それでも読み始めると

ページをめくる手が止まらりませんでした。

(会社のランチタイムは

 ランチそっちのけで読みふけっていました)

 

 

物語の中心は殺された亜佐美と各話の主人公

(例えば職場の上司や母親)なんですが、

もう一人大事な人物がいます。

それは、亜佐美の関係者たちに

話を聞いて回る「ワタライケンヤ(渡来健也)」です。

 

読み始めた当初は、

各話の主人公たちとワタライの会話から

亜佐美がどんな人物だったか浮かびあがっていくんだろうな…

と、考えていました。

 

しかし、読み進めるうちにだんだんと

この中の誰が犯人なんだろう?という興味も湧きました。

 

さらに、亜佐美の関係者たちは曲者ばかり。

ゆるーくてだるそーなワタライが時折鋭い言葉を放って

少しずつ関係者たちを追い詰めていく過程が

とってもドキドキしておもしろかったです。

 

タイトルの「死ねばいいのに」は、

各話に必ず登場する言葉で

当然キーワードになっています。

いつどんなシチュエーションでこの言葉が出てきて、

その前後で物語や人物の心情がどう変わるのか…

その対比も鮮やかだと思いました。

 

 

私的には、5話目(五人目。)の

最後のページをめくって飛び込んできた言葉に

「え、まじ!?????!!!!?」ってなりました。

フラグ回収がお得意な方からしたら

「そりゃそうでしょ」って感じかもしれませんが…。

 

 

私は、京極さんというと

「妖怪が出てくる作品が多い」

という謎の偏見があったのですが、

本作には妖怪は登場しません! 現代のお話です。

 

それでも、ありきたりな言葉ではありますが

「人間のほうがよっぽど怖い」と思いました。

そして、どんな妖怪やミステリーよりも、

「人間が一番不可解」とも感じました。

 

 

お楽しみポイントはいくつもあると思いますが、

私としては

・亜佐美とはどんな人物か

・亜佐美のことを聞いて回っていたワタライは、どんな人物か

・亜佐美を殺したのはだれか

を、この物語のおもしろポイントとして挙げたいです。

 

 

ラストというか結末は

うまく解釈できていないのですが、、、

それでも私は決してモヤモヤしませんでした。

なんとなく救いのある終わりのような気がしたからです。

 

 

 

次は、桜庭一樹さんの「私の男」を読む予定です!