【読書ノート 001】「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ
玉樹真一郎 ・著(ダイヤモンド社) 2019年8月8日発売
2021年1月30日読了
感想
・1ページあたりの文字数が少なく(おそらく意図的に)、ラフな語り口なので読みやすい
・著者によるゆるめの手描きイラストや、解説している内容を読者も体験できるようにと例題がふんだんに用意されていて飽きない
・「スーパーマリオ」や「ドラクエ」など、コアなゲームファンでなくても聞いたことがあるようなタイトル、キャラクターが複数登場する
・それらのゲームに施されている、人の心をつかむための手法(体験デザイン)が解説されていて楽しい
・巻末の応用編・参考資料は、本編とはレイアウトやデザインが異なっていて、最後の最後まで凝った作り
・300ページ超えの書籍だが、最後まで夢中になって読めた。積み本にしていたことを後悔&反省…
印象に残ったこと
・「ついやってしまう」という感覚には、そうなるための仕組みがあることを知った。多くの仕組みが緻密に設計されている。ユーザーを夢中にさせたり熱中させる商品・サービスは偶然の産物ではなく、仕組み作りと真剣に向き合った作り手側の功績。
・つまり、ユーザーが感じる「ついやってしまう」という感覚は、ある程度コントロールできる。「カワイイ」だけでなく、夢中や熱中も作れる。
・仕組み作りのポイントとして本書であげているのが、タイトルでも掲げている「直感・驚き・物語」。この3つの体験をデザインすることが大切。キーワードだけ並べてもピンときづらいが、どの項目も細分化して丁寧に解説されている。
・例えば、「直感」は3つの体験から構成されていて、人の内面と紐づく2つ必須要素も存在する。これだけ書くと小難しく感じさせてしまいそうだが、多くの人が無意識に経験していることを読み手に寄り添いながら説明していくので、読めばきっとㇲッと理解できるはず。
・私は、自分が経験した「ついやってしまった(もちろん良い意味で)」の仕組みが明確になって、とてもすっきりした。感動もした。偶然生じた感覚ではなく、「ついやってしまう」ことがデザインできる(=意図的に作り出せる)ってすごい。気付いていないだけで、自分の身近にもいっぱい体験のデザインは潜んでいるのだと思う。探したい。
・編集者的なことやWebサイト制作に携わる身なので、自分の仕事にも活かしていきたい。むしろ、そこまでやってこその「サービス提供」なのだと感じた。
覚えておきたいこと
・体験のデザインはユーザーを起点に行うしかない
・商品やサービスの「良さ・正しさ」を伝えるよりも、ユーザーが商品やサービスとの関わり方を「理解する」ことが最優先
・物語の要は「何があったか」「どう伝えるか」
・ゲームは、ゲームの主人公が成長していく架空の物語ではなく、プレイヤー自身が成長していく「プレイヤーの物語」→これがゲームを遊ぶ意義
・記憶は過去形、体験は「記憶の現在形」
出てくる用語(忘備録)
・アフォーダンス:何かを見たときに思い浮かぶ「~するのかな」という気持ち
・シグニファイア:アフォーダンスを与えることに特化した情報
・初頭効果:体験の最初の頃が、もっとも集中力や学習効率が高まる
・心的飽和、馴化:同じ刺激が何度も繰り返されると反応が徐々に弱まっていく(疲れや飽きの蓄積につながる)
・ナラティブ(物語)=ストーリー(物語内容)+ディスコース(物語言説)
・環境ストーリーテリング:環境の中に配置された情報を、ユーザーが自主的に集めながら物語を構築していくこと
・ミラーニューロン:(ざっくり言えば)他者の感情を自分のことのように感じる心の動きを司る神経
総評
・おもしろい!!!!!
・人に勧めたい(表紙やタイトルに惹かれた方、このブログを読んで少しでも中身が気になった方はぜひ)
・定期的に読み返したい(例えば仕事で文章を書きながら「このサービス、どうやったら魅力的に感じてもらえるかな…」なんて悩んだときに)
予告
・現在読んでいるのは「ブランディングの化学」
・次の読書ノートは、この中のどれか(曖昧)